こんにちは。
ローカルをオウエンする旅人 佐藤翔平(@tempurubato_yh)です。
寒波続きの日本列島、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、そんな冬を乗り越える、雪国のマタギやリンゴ農家に選ばれ続けてきた『伝統の長靴』について紹介できたらと思います。
黒石市で復活したボッコ靴
2015年9月、自転車旅の途中で、青森県黒石市に滞在をしていました。
当時僕は、日本各地の民藝や手工芸品に非常に興味がありました。その土地で作られているもの、作っている人、作られている環境や工程…日本独自のものを再発見する旅…柳宗悦の民藝運動のような視野を、旅の一要素として楽しむことをしていました。
そんななか、この町には『ボッコ靴』という伝統的な長靴があるらしい…どこからか忘れてしまいましたが、現地でそんな情報を手に入れ、近くで作られていることも分かったので、急遽訪ねることに。
商店街にある Kボッコ
たどり着いたのは、横町商店街にある「スミトモ靴店」という店名の普通の靴屋さん。横には『Kボッコ 株式会社』という看板。
「本当にこの場所なんだろうか?」
あまりに普通の靴屋さんなので少し疑いながらも、店内を覗いてみることにしました。
ボッコ靴の歴史
幾つかのサイトを引用しながら、改めてボッコ靴の歴史について紹介したいと思います。
1950~60年代にかけて、100%天然生ゴムで作られた長靴『ボッコ靴』が津軽地方で生産・流通されるようになる。
冷たい雪の上でも温かいと評判になり、リンゴ農家や営林業、鉄道員やマタギの人々らに重宝されていたそう。
その後、大量生産による安価な長靴の登場により、1970年代に生産がストップ。30年以上作られていない時期があったものの、毎日のように問い合わせが来る状況を踏まえ、復刻を決意。
苦節10年の時を経て平成17年に復刻した。
紆余曲折あり、復刻することが出来た、伝統の長靴。
店頭に展示されていた道具
歴史を感じる道具が店頭に並んでいました。ラストと呼ばれる足型(通常靴作りの際は木製のことが多い)が金物だったのが面白かったです。
復刻までのエピソードは、こちらのサイトを参考下さい。
ボッコ靴の由来
由来は諸説あるそうですが、「雪の上を歩くと、『ボッコ、ボッコ』と音がするから」「ひなたぼっこのように温かいから」などがよく言われていることのようです。
由来に関しては、こちらのサイトを参考下さい。
同じ青森県の工芸『こぎん刺し』なんかもそうですが、あまりに日常に近いところで生まれた文化や工芸品は、由来や歴史がはっきりしていないことが多い。
名もない誰かが作りはじめ、それが月日と共に広まり、気がついたらその土地の文化のようになっていた…そんな話を旅中に聞くことも多かったです。
中田英寿も表敬訪問 日本で唯一のボッコ靴職人
そんな、雪の上でも冷たくならないボッコ靴は、現在【日本でたった一人】のボッコ靴職人が、手作業で作っている。制作状況は一日に一足二足程度。
そして、ボッコ靴の材料、特殊な国産生ゴムのシートが尽きてきたそうで、生産がストップしかねない状況になっているんだそうです。
サンプル品を試し履き
完全受注生産の予約購入のみというアナウンスでしたが、サンプル品が幾つか店頭に並んでいたので、試し履きをさせて頂けました。
3mm程の厚みのゴムが貼り合わされていて、中敷きはありますが裏地がないのが特徴的。(生ゴムと同原料のゴムのりのみで作られているんだそうです。)
足入れの部分にしろ、甲にしろ、結構広めにとられている印象で、フィットさせるには中敷を入れて調整したり工夫が必要な感じでした。
生ゴムのみで作られているので、熱や太陽の光なんかで劣化したりはするかと思いますが、比較的頑丈な製品のように感じました。
お手入れ方法や製品についてはこちらを参考下さい。
おわりに
時代の流れと共に一度無くなった産業ですが、苦節10年の時を経て近年復活を遂げた、希少価値の高い長靴 『ボッコ靴』。
(漆を使った工芸なんかでもよく言われますが) 技術の継承もそうですが、材料の調達がとても難儀するようで…今後もどのようになっていくのか定かではないですが、このような文化や意志を継承するような動きが増えていることは、日本人としてシンプルに嬉しいと思いました。
▼現地での投稿
関連情報・参考サイト
・Kボッコ株式会社
無骨だけどかわいいと思いました。ボッコ靴。
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