【高知】写真家石川直樹個展 『この星の光の地図を写す』

サトウ

こんにちは。

ローカルをオウエンする旅人 佐藤翔平(@tempurubato_yh)です。

今年の4月。

最後の冒険家とも称されている、写真家の石川直樹さんが高知に来られました。

高知県立美術館で個展が始まることは知っていたのですが、町の本屋さんに立ち寄った際に偶然トークイベントに遭遇し、彼の作品を美術館で観るときを楽しみにしていました。

それからふた月…個展終了期間を目前に、ようやく美術館に伺うことができました。

石川直樹個展 『この星の光の地図を写す』

会場となったのは高知県立美術館。

この美術館の設計は日本設計。都市計画・都市開発からリノベーション・インテリアデザインまで幅広く行っている老舗設計事務所。高知に所縁のある、山本長水(やまもとひさみ)建築設計事務所などと共に施工。

土佐漆喰の土蔵をモチーフとする、高知らしいデザインの美術館です。

石川直樹と高知

なぜ、今回高知で石川直樹さんの個展が開催されたのか…。

それは、4月のトークイベントに参加した際に、彼の口から語られていました。

1977年東京生まれ。写真家。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。

『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。最近では、ヒマラヤの8000m峰に焦点をあてた写真集シリーズ『Lhotse』『Qomolangma』『Manaslu』『Makalu』『K2』(SLANT)を5冊連続刊行。最新刊に写真集『Svalbard』『流星の島』(SUPER LABO)、著書『極北へ』(毎日新聞出版)がある。 – Naoki Ishikawa 

冒頭にも紹介した、金高堂書店本店で開催されたトーク&サイン会イベント。

ここで石川さんは、生まれて初めての旅、旅の原点は高知にあると仰られていました。

シャガール、近代・現代の美術作家、郷土作家によるコレクション展と、国内外の様々なジャンルのアートをご紹介する企画展を開催。

石川は14歳の時に生家のある東京からひとり電車を乗り継ぎ、単身で高知に訪れました。この旅が冒険の原点となり、17歳でインドに一人旅、22歳で北極点から南極点までを人力で踏破、23歳では七大陸最高峰の登頂に成功しました。その後も国内・世界各地を旅し、人類学や民俗学などの観点を取り入れた独自のスタイルで写真を撮り続けています。-高知県立美術館 

14歳の石川少年は、本で読んだ『坂本龍馬』に強い興味を持ち、彼の足跡を辿る旅に出ました。

この時の経験が原点となり、【本で読んで興味を強く感じたところを目指す旅】をはじめたそうです。

彼にとって高知は、はじまりの場所。

(さいきん高知へ来たばかりなのに、嬉しくなっちゃいました。)

写真撮影可、SNS投稿可

今回の展示は、一部区画を除いて、ほぼ写真撮影可となっておりました。

「写真を写真撮影してどうする!!」と、自分自身にある心の違和感、心の矛盾と一瞬向き合うわけですが、このようにブログを書いたり、SNSで感動体験をシェアする時代において、その違和感をも許容出来たほうが楽しめることもあるのかな…と思う自分もいました。

(何はともあれ、作品と向き合いつつ写真も撮りながら回遊しました。)

旅をターニングポイントに。

この日は、今一緒にゲストハウスの運営をしているヨッシーとここへ訪れました。

僕も彼も、旅を一つのターニングポイント(きっかけ)として、今の生きかたを選択している人間です。

そして、石川直樹さんもまた、旅の日常を通じて価値観や人間観を育まれてきた方なのだなーと、一枚一枚の写真を通じて感じとることができました。

旅の写真と文章と

それは、写真に対する文章からも伝わってきました。

写真の構図がどうで、ピントの合わせ方、影がどうで…のような作品に対する批評よりも、【なぜこれを撮り、今回の展示で選んだのか】を、並んだ写真を通じて【回想する旅】をしている時間が濃密でした。

旅の写真と映像と

時にその世界観の共有は、映像や音楽を通じても表現されます。

写真のみを楽しむ展示ではなく、写真を一つの軸として、彼の冒険を様々な角度から体験し、そして彼の思考を垣間見ることに面白さを感じました。

海外の冒険、日本の冒険

今回の展示は、割合でいうと海外の写真が過半数を占めていましたが、日本での体験が共有できるエリアも幾つかありました。

富士山や羅臼・知床半島など、海外の写真と地続きで日本の写真が並んでいる様子をみて、彼の中では日本と海外という区別はなく、きっと同じ旅の延長なんだろうなと思考しました。

旅目線が旅をつくる

これは自身の旅でも感じることですが、どこを旅するかよりも、どんな目線で、何を感じて、何を受け取るか…なのだと思います。

いつもの日常も、【旅目線】で向き合うとそれはもはや旅でしかなくて、フラットに、柔軟に旅目線への切り替えができる人は、どこにいても旅を感じられ、何をしていても面白さを見出せる気がします。

なんとなくですが、石川さんの写真、そして今回の展示から、そのようなニュアンスも感じとることができました。

彼に関連する書籍が並んでいたエリアで手にした【一冊の本の一ページ】からも、それをメッセージとして受け取りました。

写真そのものの美しさよりも、その背景にあるストーリーや撮影者の人間性を、一つの写真から回想していくこと。写っていない部分を感じる面白さに真髄を感じました。

旅の道具を通じて

石川さんの希望で、最後に回ってほしいと…

そう告げられて最後にたどり着くのは、彼を身近に感じる物質の羅列。

これまでの展示を通じ、写真や映像で平面的に疑似体験してきた冒険が、最後の最後に身近に感じる瞬間です。

冒険で使っていたアウトドアギアの数々… 頭の中で浮遊していた冒険が、目の前に迫ってくる仕掛けが最後に待っていました。

あの写真は、このギアと共に生まれたのか。

あの環境下にいるとき、彼はこんな服を着ていたのか。

空想していたものが、実感に変わっていきます。

旅のきっかけに触れる

彼が冒険を始めたきっかけは『本』。

彼の選んだ本に触れることは、彼の冒険のきっかけに触れることでもある…そんな風に思いながら、本棚をかじりつくように観ていました。

なぜあの場所へ行ったのか、なぜこのような活動を続けているのか、彼の興味や視野の一部が、この本棚からも感じられました。

おわりに

最後に、一枚の写真を紹介して終わろうと思います。

これは、今回の個展の入り口にある、いわば一枚目に展示されている写真です。

標高数千メートルの雪山で、意識を朦朧とさせながら撮影した一枚。ファインダーを覗き込む余裕すらなく、構図も露出もピントも構わず、とにかくシャッターを切った…というもの。写真下に映りこんでいる赤いものは、自身の所持品なのだそう。

普通であれば、駄作とされるボツ写真。

しかし、この一枚の写真から、雪山の厳しさや撮影している環境下、その時の舞台裏のストーリーが伝わってくる。。これこそがリアルなのかもしれません。

そんなことを回想しながら楽しんだ今回の個展。

写真には写らない冒険(ストーリー)が、しばしば垣間見える個展でした。

楽しかったーーー!!!!

今回の展示はもう直ぐ終了を迎えます。

このブログを今さら書き、今さら伝えるのは「遅すぎだろ」と言わざるを得ませんが、とても素敵な展示でした。

今まで石川直樹さんを知らなかった方も、今回の展示に間に合わなかった方も、この記事で何かしら感じて頂けるものがありましたら、今後も是非注目してみてくださいね。

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高知 微住日記

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