こんにちは。
ローカルをオウエンする旅人 佐藤翔平(@tempurubato_yh)です。
2015年、大地の芸術祭の作品として行われた『越後妻有 民俗泊物館』の取り組みをご存知でしょうか。
簡単に説明すると、新潟の山間集落に住まわれている方の自宅へ民泊をさせて頂き、そこで見聞きしたものをアーカイブして『民俗泊物館』をつくる…という一つのアート作品です。
Airbnb の浸透と共に『民泊』はとても身近になりましたが、一方で違法性やトラブルに関するニュースを通じて、良くないイメージを持つ人も増えたように思います。
今回、2015ー2016年にわたって行われたアート活動を通じて、『民泊』に対する少し違う面白さを共有出来たらと思います。
民俗泊物館とは
HOMESTAY MUSEUM
『越後妻有民俗泊物館』について、HPを引用しながら改めて紹介していきます。
越後妻有民俗泊物館とは?
越後妻有の里山のお宅に民泊(ホームステイ)をして、地域の人とあなたが対話をしながら、新たな民俗資料を充実させていく博物館です。
宿泊者はみんぱく研究員となり、越後妻有のお宅に泊まり、地域の方からそれぞれの固有のエピソードを伺います。
みんぱく研究員は、民泊先のお宅から、資料をお借りしたり、伺ったエピソードの保存方法を工夫しながら、さまざまな民俗資料を収蔵していき泊物館を充実させていきます。
その地域に根付いた、昔からあるおうちに滞在することで、五感で地域や文化習慣を体験し、その経験や知見を共有しアーカイブしていく…という取り組み。
「めちゃくちゃ面白いなー」と、ハウスキャラバンの活動をしていた当時、情報を見つけたとき嫉妬しました。
インバウンドやビジネスを軸に、投資先の一つとして『民泊』というものにフォーカスすることが増えている現代ですが、このように体験や口伝によって、文化や歴史、考え方や日常を引き継いでいく…というような観点から『民泊』を切り取ることも出来るのだと思います。
(再編集が利いてますね、いやー素敵。)
宿泊をする人間は『みんぱく研究員』として、事前に面接をしたのちに決められた民家へ宿泊する流れとなっており、研究員の成果がそのまま作品になっていきます。
みんぱく研究員
みんぱく研究員を募集していたページには、このようなことが書いてあります。
みんぱく研究員とは、妻有の里山のお宅に滞在させていただきながら、その家や地域の歴史を調査し、資料を収集する役職です。
【みんぱく研究員のこころ構え】
・いつなんどきも調査の視点を忘れないように。
・住民の方と積極的な会話をこころがける。
・民泊調査の受け入れ先には失礼のないように。
・お酒をいっしょに飲む場合は飲みすぎないように。 – みんぱく研究員募集
こころ構えに「お酒を飲みすぎない」が入っている感じが、酒の国 新潟っぽくていいですね。ユルい。
【民泊調査の流れ】
民俗泊物館別館登録されているお宅に民泊をさせていただき、お話を伺います。住人の方に、ここに住んでいる理由、これまでの半生について、お仕事について、地域の風習などについての質問をさせていただきます。
みんぱく研究員の琴線にひっかかるエピソードを象徴する「もの」を住人の方からお借りし泊物館の所蔵品とさせていただきます。もし「もの」がなければ、後日泊物館職員が複製品を制作します。- みんぱく研究員募集
ユルさはあるものの、作品制作に直接的に関与することになるので、調査の流れについても書いてあります。大地の芸術祭の作品として関われて、更に「田舎へ泊まろう」もできて…とても面白いですよね。
アーカイブ
みんぱく研究員が集めた資料は、期間中に作品展示され、同時に書籍化もされました。また、アーカイブサイトを経由して閲覧することも。下に添付した『運営日誌』は、ある意味とても “ふつう” で面白かったです。
おわりに
今回の作品を手がけた 深澤孝史 さんですが、『リサーチを元に、地域や場の持つ可能性に言及するプロジェクト型のアートワークを手がける美術家』と紹介されています。
以前にも『とくいの銀行』という「お金の代わりに自分のとくいなことを運用するとくいの銀行を開設し、運営する。」というプロジェクトも手がけられていました。
僕がやってきた『移動式ゲストハウス ハウスキャラバン』のプロジェクトにも、少し思考の親和性を感じますが、地域課題や魅力を再編集しながら面白がっていくこと、仕組みをアートするような動きって、とてもワクワクしますし、嫉妬します。
『民俗泊物館』というものを通じて、地域の文化習慣やそこにいる人々の暮らしの魅力をあぶり出し、別の角度から最注目することで見えてくるものをアートにする。。本当に素晴らしいプロジェクトだと思いました。
2018年は大地の芸術祭イヤー。
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