こんにちは。
ローカルをオウエンする旅人 佐藤翔平(@tempurubato_yh)です。
今回は、旅で出会った『ある小さな港町』の話をしようと思う。
現地で見聞きしたことや体験に基づいた話ではあるが、記憶があやふやな部分も多いため、一部にフィクションをいれている。
本編はあくまで、主観で綴るエッセイのようなものだと思って読んでほしい。
あの日食べたブリ大根のことが忘れられない。
漁師の町
小さな港町で半月ほど滞在したときのこと。
そこは元々漁師の町として栄えたエリアで、集落に住む人の大半は漁に関わる仕事をしていたそうだ。
当時の話を聞くと、それなりの豊漁が毎年続き、不自由ない生活が過ごせていたらしかった。
話を聞いたその人は、昔から酪農業と野菜・米農家をしていた。生活は漁師と比べ厳しく、給料も低かったそうだ。
時代の変化
時代と共に気候や生態系が変化し、漁に出ても豊漁になることはなくなっていったらしい。それどころか、産業を維持するのも難しくなるほど、不漁が続くようになったそうだ。
その一方、昔から農家をしていた(ごく一部の限られた)人は、年々少しずつ作付面積を増やし、生計が立つようになっていった。
立場の逆転
そこにいた漁師たちは、自分たちが町のメインストリームを築いてきた自負があり、稼ぎも農家より全然良かったので、農家を蔑むような振る舞いをしていたようだ。
時代が変わり農家の立場が逆転。農家のほうが稼ぐようになり、漁師たちは仕事にありつくのも苦労するようになった。
知らぬ間に出来てしまった関係性。
小さなコミュニティの中にいると、そんな小さなことさえも、ノドに引っかかった小骨のように、常に違和感を残してしまうようだった。
町に出来た新しいお店
あるとき、関東から60歳を過ぎた移住者がやってきて、『半漁半飲食』のようなスタイルで、小さな飲食店をスタートさせた。
朝は8時からモーニングをやっていて、夜は2,000円で飲み食べ放題になるお店。
年々お店が減ってきた集落に出来た、一軒の新しいお店に、次第に人が集まるようになっていった。
いがみ合う
他にお店が無いエリアなので、そこに人が集まるようになってくると、農家も漁師も顔を合わせる機会が増えた。
しかし一方で、『こじれた関係性』がへばりついているので、顔を合わせても つっけんどん な態度を取り合う始末。
お裾分け
普段つっけんどんな態度を取り合う漁師と農家だったが、このお店の『素敵なところ』は、そんな両者から、ともに愛されている場所になっているところだった。
あるときは漁師が、余った魚を持ってきてお店にお裾分けをし、またあるときは農家が、余った野菜をお店にお裾分けをした。
両者が持ち寄った食材がそこで料理され、振る舞われる機会が徐々に増えていった。
そこで改めて、漁師も農家もお互いに気付くことになる。
『ここには、漁師と農家がいる。』ということを。
…
物々交換所
最近では、魚が食べたくなった農家は、野菜を持ってお店に。野菜を食べたくなった漁師は、魚を持ってお店に。
互いに余ったものを持ち寄って、物々交換をする機会が増えたそうだ。
そんなある日、天然のブリが揚がった。
豊かなブリ大根
女将が「ブリ大根を作ろう」と話題にすると、漁師はブリを、農家は大根をそれぞれ持参し、
見事な連携で、鮮度抜群『豊かなブリ大根』が完成したのだった。
いがみあいを越えた先にあった『ブリ大根』には、人の温かさとその町の豊かさが、たっぷりと詰まっていた。
おわりに
今回の記事は、高知県に滞在していた際に聞いた話や経験したことを、自分なりに租借し(少しフィクションを交えて)、このような記事としてまとめました。
実際には、昔からの関係性のようなものは感じたが、仲が悪い風ではなかったし、今の時代に沿わせ変化し、お互いに助け合える関係性に向かっているような雰囲気を感じた。
日本各地、ローカルな体験をさせて頂く日々に身をおいていると、驚かされることや新たな発見が度々ある。
この小さな町では、自然発生的なギフトエコノミーが成立していて、同時にコミュニティというものも自然に生まれていた。
地方ならではの力加減や複雑さがあるのも事実だが、実に合理的な関わり方だなぁとも感じた。
体験を通じて学ぶ、自然発生的な習慣や文化。日本のローカルから学ぶことも、まだまだあるのだと感じている。
ハウスキャラバンとは
活動期間:【 2016.03~2017.02 】
ハウスキャラバン(別名:移動式ゲストハウス House Caravan)とは、SNSの発信を通じて参加者を募り、旅の日常をシェアしながら、6人乗りのキャラバンカーで日本全国を巡業するソーシャルアクションです。
▼ハウスキャラバンの取り組みや情報はページ詳細へ
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