【岡山】世界初のアルベルゴディフーゾタウン『矢掛町』を訪ねて。

サトウ

こんにちは。

微妙に住んでいると書いて『微住』。旅でも移住でもない、微住生活を過ごしている ローカルをオウエンする旅人 佐藤翔平(@tempurubato_yh)です。

2019年2月、友人と3泊4日の瀬戸内旅を敢行しました。

今回は、その旅の道中に訪れた旧山陽道の宿場町『矢掛町(やかげちょう)』を紹介させて頂きます。

温泉でも浸かろうか‥と偶然選んだ町でしたが、ここは世界初の『アルベルゴディフーゾタウン』に認定され、国内外から注目を集めている町でした。

アルベルゴディフーゾとはなにか。

矢掛町でのまち歩き体験とともに紹介できればと思います。

旧宿場町『矢掛町』まち歩き。

古い建築が並ぶ宿場町

県南西部、広島県福山市から岡山県倉敷市へ向かう道すがら。

井原鉄道というローカル鉄道に沿って車を走らせると、矢掛町という旧山陽道の宿場町が現れます。


場所はココらへん

土地勘のある友人に言わせると、特に何かあるわけでもない田舎町。

‥そんな町に、さいきんは大型観光バスが停まるようになったそうなのです。

中心部に残る古き良き町並み

 

地方をあてもなく旅していると、旧宿場町や城下町を中心に、今でもこのような『歴史を感じる古き良き町並み』と出会うことがあります。

昔からある地場の空気をまとっているような、統一感のある建築物に囲まれた町並みを歩くと、どこかホッとする気分になります。

古い商家をカフェやレストランとして再活用していたり、昔からある醤油店をみることができたり‥町の人達によって『町が生かされている』のが感じられます。

ちょうどこの日は朝市をやっていたこともあり、ここに住んでいる人たちの空気感に触れることもでき、町の一体感がそうさせるのか、歩くだけでも楽しい気持ちになれました。

一本裏にある昭和の町並みも素敵

メイン通りは古い建物を活かしたお店が中心ですが、一本裏に入ると矢掛町民の生活圏を感じる町並みがありました。

ハレとケが隣り合わせにある日常感というか、この両方を知ることで『その町らしさ』がにじみ出てきます。

‥とここまでは、割とよくある宿場町の光景にも感じるのですが、どうしてここが今注目されているのでしょうか。

どうやらそれは『アルベルゴディフーゾ』を軸とした、町の観光化と活気づくりにあるようでした。

世界初のアルベルゴディフーゾタウン

冒頭に紹介したとおり、この矢掛町は世界初のアルベルゴディフーゾタウンに選ばれました。

宿泊施設として認定されている拠点は多数ありますが、町全体で認定されたのは世界初‥ということなのです。

新着情報「世界初!矢掛町が「アルベルゴ・ディフーゾ・タウン」に認定」を紹介しているページ|矢掛町公式ホームページ

矢掛町が「アルベルゴ・ディフーゾ・タウン」に認定されました。

これは、宿泊施設「矢掛屋」が「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)に認定されたことに併せて認定されたもので、世界初の認定となります。6月12日には、イタリア・アルベルゴ・ディフーゾ協会のジャンカルロ・ダッラーラ氏が来日し、認定書を山野町長に交付しました。 – 矢掛町HP

そもそも『アルベルゴ・ディフーゾ』という言葉、ご存知ですか?

『アルベルゴ・ディフーゾ』とは

https://www.alberghidiffusi.it

アルベルゴ・ディフーゾとは、イタリア語で『散らばった宿』を表す言葉で、まち全体を一つの宿に見立てるような『分散型ホテル』のことです。

「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)」

1980年代初めにジャンカルロ・ダッラーラ教授が提唱した「廃村の危機にあるイタリアの小さな美しい村々に”再び息吹を”という伝統集落再生の試み。

具体的には、過疎化した地域の伝統的な建物を宿泊施設に活用し、集落を再生する取り組みで、複数の空き家を利用して宿泊施設や受付、食堂等を別々に配置。これらの施設が建物内に一体となった通常のホテルとは違い、観光客が地域を巡り、溶け込んで滞在してもらう狙いがあります。 – 矢掛町HP

これは、先日ご紹介した『まちやど』にも近い概念。

客室を含めホテルの各機能をまちなかに分散させることで、まち全体を回遊・利用してもらう取り組みです。

2018年12月14日。広島県福山市にオープンしたまちやど『AREA INN FUSHIMICHO』の宿泊レポです!

「まちやど」の特徴

通常のホテルや旅館などをイメージしてみてください。

食事や温浴、お土産や娯楽などがオールインワンで済む従来型の宿泊施設とは異なり、寝室(宿泊要素)以外を町なかに点在させ、滞在中の導線を町なかにつくり、町を楽しんでもらおうという姿勢の宿を『まちやど』といいます。 – 日本微住計画記事

アルベルゴ・ディフーゾには「過疎化した地域の資産を活かす」や「集落を再生する」‥という意図も含まれているそうで、近年日本各地で行われている『地方創生』『リノベーション』『町づくり』などの文脈とも親和性の高い言葉です。

東京谷中の hanare も。

http://hanare.hagiso.jp

因みに、アジア初のアルベルゴ・ディフーゾは、2016年に認定された東京谷中のhanare HAGISO。

(hanareは宿泊施設として認定。矢掛町はまちごと認定されています。)

hanare about

宿泊するための客室を含め、まちなかにホテル要素を分散させており、まち全体を使った滞在スタイルを提案しています。

ホテルのレセプションは最小文化複合施設「HAGISO」の2Fにあります。
宿泊室はまちの中。
大浴場はまちの銭湯。
ホテル自慢のレストランはまちの美味しい飲食店。
お土産屋さんは商店街や路地に店を構える雑貨屋さん。
文化体験はまちのお稽古教室やお寺で。
レンタサイクルは自転車屋さんで借りることができます。
朝ごはんはHAGISO1階のHAGI CAFEで毎朝ご提供します。 – hanare about

面白い取り組みですよねー。

矢掛屋INN&SUITES

さて、矢掛町の『アルベルゴ・ディフーゾ』ですが、先ほど少し触れたように宿泊施設『矢掛屋』が基点となっています。

矢掛町は現在(2019年4月)5つの宿泊施設がまちなかに点在しています。

そのうち矢掛屋 蔵INNは宿泊のみの棟になっているので内覧できませんでしたが、それ以外は複合施設になっており、共有スペースを見学することが可能でした。

矢掛屋本館

本館は町家造りのように奥へ奥へと続いていて、表玄関も裏玄関もとっても風情を感じる門構え。敷地もとても広いです。

幾つかの建物で構成されており、中央には陽の当たる中庭もありました。

プライバシーも確保されつつ適度に開かれている‥そんな印象でした。

宿泊施設のほかに、食事処「花鳥風月」や「CAFE&BAR 胡」などの飲食機能、お土産や地元の名産品を扱うショッピング機能。

そして伺わせて頂いた時には、お茶や音楽のイベントなどもされていました。

矢掛屋温浴別館

矢掛屋温浴別館には、「湯の華温泉」やイタリアンレストランの「タベルナ44」が併設。

ランチは食べませんでしたが、温浴施設ではゆったりとした時間を過ごしました。温浴施設は全体的にこじんまりとしていましたが、露天風呂や岩盤浴(料金別途)なんかもありましたよ。

矢掛豊穣 あかつきの蔵

観光交流拠点「矢掛豊穣 あかつきの蔵」では、備中屋長衛門と蔵INNのフロント機能や宿泊者向けの朝食提供なども行っています。

築100年を越える木材加工所を、江戸時代の米蔵をイメージした建物へ改修した施設ということで、雰囲気がありながらも開放的な印象の空間。

備中地域の特産品・土産物の販売や、江戸時代の伝統工芸が体験できる木樽製作の体験工房なども併設されていましたよ。

記事前半に紹介したとおり、全長800mほどの通り沿いには様々なお店が並んでいるので、散歩して歩くだけでも楽しめる町並みでした。

おわりに

矢掛町の観光化

矢掛町全域で‥ということではないですが、中心エリアを数時間歩いてみて、観光に対して随分と力を入れている印象を受けました。

大型バスも停車が出来る無料駐車場。

英語対応された施設案内や、レンタサイクル機能。

まちなかに分散されたインフォメーション機能。

「他の町でもやっている。」

そんな印象も確かに感じるのですが、一つ一つ観光客のニーズやウォンツを的確に反映させていて、『ホテルを作るように町を作っている』印象を受けました。

(この規模だから可能なスピード感があるのかもしれません)

『今は行政も力を入れている分野だから』

『宿場町のことを今風に言っているだけよ』

矢掛屋の女将からお話を直接伺うと、様々なメディアに取り上げられ注目され始めた『地域の盛り上がり』に相反して、とてもクールに今を受け止めているようでした。

メディアを使ったPR広報の活動も、使われていない古民家の改修工事も、行政とともに進めていることで、大きな資金源や繋がりを元手にスピーディーな町づくりを進めています。

(今回の『世界初』も、このスピード感だから実現できたものだと思います。)

町の明暗を分けるといっても過言ではない、大きな舵切りをしている『使命感』や『責任感』のようなものも感じましたが、目の前の数字のみならず、一つ一つ積み重ねるように『矢掛屋のファン』、そして『町のファン』が増えたら良いなーと想いました。

同じ『アルベルゴ・ディフーゾ』という言葉で認定を受けた谷中と矢掛でも、全く違う印象を受けたことにも今回面白さを感じました。

町の規模感の違いもあると思うのですが、谷中hanareでは日常を体験するための『まちやど』という印象だったのに対し、矢掛は非日常を体験するための『アミューズメント』のような印象。

村単位で再生を図るイタリア発の『アルベルゴ・ディフーゾ』の概念でいうなら、ひょっとしたら矢掛のほうが源流に近いのかもしれないなーとも感じました。

数年後、今度はゆっくり宿泊したい。

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【矢掛屋とアルベルゴ・ディフーゾ・タウン 】 ・ ・ 前述したとおり、矢掛町は『世界初のアルベルゴ・ディフーゾ・タウン』。 ・ アルベルゴ・ディフーゾとは、イタリア発祥の『分散型ホテル』のこと。 ・ ・ 過疎化した古き良き町並み。その町に点在する使われていない空き家を、宿泊施設や受付などに利活用。 ・ 町全体をホテルに見立て、食堂や温浴施設、ラウンジやお土産屋さんを町中に点在させることで、人の導線を新たに作り、町をゆるやかに回遊してもらう…そんなような取り組み。 ・ ・ 新しい取り組みのようであるが、メインの拠点である矢掛屋の女将さんは「宿場町のことを今風に言っているだけよ」と一言。 ・ ・ みんなで町を盛り上げようという意識と、「特別なことをやっているわけではない」という意識を何処かに感じるエピソードだ。 ・ ・ 裏側の話をすれば、行政が観光分野に今大きく注力しているようで、それらを資金源に大々的な改修工事やPRを打てているようだった。 ・ ・ ここ数年の動きが大きく左右されそうな気もするが、一時的に流行るよりも、ゆっくりと町のファンが増えていくといいなぁーと、静けさも僅かに残る町で改めてそう感じた。 ・ ・ #瀬戸内旅 #矢掛町 #アルベルゴディフーゾ #アルベルゴディフーゾタウン #まちやど #矢掛 #矢掛屋温浴別館 #宿場町 #旧山陽道 #古い町並み

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施設の情報など

矢掛屋

住所:岡山県小田郡矢掛町矢掛3050−1
電話:0866-82-0111

HP:http://www.yakage-ya.com/

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