こんにちは。
ローカルをオウエンする旅人 佐藤翔平(@tempurubato_yh)です。
2018年2月号のソトコト『関係人口入門』を通じて、周りでも少しずつ「関係人口」という言葉が使われ始めました。
2017年 総務省でも、『2018年度より、関係人口を支援する取り組みをめざし、複数自治体をモデル指定する』という方針を掲げています。
▼「関係人口」で地域活性化=出身者、勤務経験者活用-総務省
果たして、2018年度は『関係人口 元年』となるのでしょうか。
今までの実体験やリリースされている情報をもとに、今回も関係人口について共有していきます。
関係人口とはなにか
関係人口とはなにか。
『関係人口』という言葉を世に広めるきっかけになった、ソトコト編集長 指出一正さんの著書『ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)』にはこのように書かれています。
関係人口とは、言葉のとおり「地域に関わってくれる人口」のこと。自分でお気に入りの地域に週末ごとに通ってくれたり、頻繁に通わなくても何らかの形でその地域を応援してくれるような人たち。
いくつかの地域ではそうした関係人口が目に見えて増えており、そこでは中心となる人が地域づくりを始めるようになりました。 – ぼくらは地方で幸せを見つける P219
僕なりに解釈すると、『関係人口』とは、町のファンになった人が、何かしらのカタチで町と関わりをもっている状態のこと。町がファンに対して、町と関わる方法『関わりしろ』を上手く提示することで、関係人口は増えていきます。
単なる移住者を差す言葉でもないですし、観光で遊びに来ただけの無名の旅行者、すなわち『交流人口』のことを差す言葉でもありません。
もしかすると、「応援したい」というような、気持ちや意識の結びつきを示す言葉でもあるのかもしれません。
国土交通省と関係人口
国土交通省のHPには、『関係人口論とその展開』というスライドがアップされています。
このスライドは、田中輝美さん著『関係人口をつくる』や、前述したソトコト『関係人口入門』でも紹介されている、明治大学農学部の小田切徳美教授が作成したものです。
小田切徳美教授は『農山村再生』をテーマに幾つもの書籍を出されており、『よそ者と創る新しい農山村』など、関係人口に関する本の監修などもされています。
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スライドについて
公開されているスライドの内容の多くは、上で紹介した田中輝美さん著『関係人口をつくる』と重複しています。ここでは、特にピックアップしたい2つのスライドを紹介します。
スライド7(画像右下の数字)で紹介しているように、『移住に向かうステップが多様になっている』ということと、スライド8にあるように『必ずしも移住に向かわない人たちを、どのように考えていくか』ということ。この二つが、今後の移住や地方創生をみる時のポイントになってくると思います。
スライド:PDF「関係人口論」とその展開 – 国土交通省>>
Amazon.jp:小田切徳美 書籍一覧>>
総務省と関係人口
これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会中間とりまとめ-総務省
総務省のHPでも、関係人口に関わる幾つかのスライドが確認できます。その中でも特に、上に添付した『これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会中間とりまとめ-総務省』が面白かったです。
『これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会』に関しても、先ほど紹介した小田切徳美 明治大学教授が座長を務めていらっしゃるため、基本的には情報元のソースは同様です。
(今後もう少し関わる専門家を増やし、多角化的に議論が進んでいくといいのですが…)
スライドについて
こちらは『関係人口』を解説しているものではないので、あくまでも移住政策における現状の共有と、これからの移住・交流施策のあり方を考えるためのスライドとなっています。
バスケットでいうピボットのような、片足を残した状態での移住(半移住・二拠点居住のようなスタイル)が実現出来る手段も整ってきており、ここにあるような、関係人口を経由する『段階移住』のような考えかたも、今後『関係人口』と同様に普及していくのではと思っています。
ここで紹介されている、テレワークやサテライトオフィスなんかもその一つですが、プレイヤー側も受け皿側も、場所にとらわれない働きかたへ向かっている印象があり、
受け皿の整備や情報共有、そして事例の構築を進めていくことで、より自分のライフスタイルにマッチした拠点探しを可能にするのではと期待しています。
『都市部でも田舎でもどちらでも仕事が出来る』『田舎のなかでも、より自分にあった場所』…といったように、各地の人や場所と関わりながら様々な体験をすることで、これからの生き方・働き方と改めて向き合う時代に、向かっているように思います。
また、総務省で配布されている資料に、「風の人」なんて言葉が入っていることも面白かったです。
ブログ内にある『旅と関係人口』のカテゴリーで書いてあるような、旅人を活かすような取り組みも今後どんどん増えてくると、より『ヒトコトモノ情報』の流動や循環が加速するように思います。
スライド:PDF これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会中間とりまとめ-総務省>>
おわりに
今回、国土交通省と総務省のスライド紹介をしながら記事を進めてきたわけですが、改めて見返すと、小田切徳美 明治大学教授のスライドを追っかけるような内容になりました。
せっかくなので、そのままソトコト2月号『関係人口入門』の、小田切教授のコメントを紹介して終わりたいと思います。
関係人口の地域への関わり方は実に多彩です。ボランティア活動で汗を流す人もいれば、仲間にその地域をさりげなく宣伝する人もいます。
したがって、地元は、「最終的に移住を考えていない人は相手にしない」などという狭い発想で彼らに対応すべきではありません。
むしろ必要なことは、多様な関わりの場所や場面、そして関われる人を準備することです。実は、そのために、普段からの地域づくりの積み重ねこそが重要になります。 – P076 ソトコト『関係人口入門』
僕個人の意見としては、関係人口という考え方を知った上で、地域をどのようにデザインしていくかは、地域の人が決めればいいことだと思っています。
『これからは関係人口だ!』と不用意にヨソモノを受け入れたところで、消耗してしまう仕組みでは本末転倒ですし、そのような経験をしてしまうと、ヨソモノを毛嫌いする風土にもなりかねません。
現に、移住者との小競り合いによっていい思いをしていない前例のある地域は、移住の受け入れに消極的なことが多いですし、それも長い長い歴史、たとえば疎開地として人を受け入れていた時の話まで遡って、ヨソモノを信用していない…なんて話もあるほどです。
流行のように飛びつくのは危険だと思いますが、このような考え方を共有した上で、ヨソモノの活用を考えていくことは、中長期的な目線でも重要になってくると思います。
奪い合いではなくシェアの時代に向かっているからこそ、このような概念も一般的に普及していくのではないかと、僕は期待しています。
※追記:平成30年度総務省の予算が公開されていました。
▼総務省『関係人口』創出事業に 2.5 億円 ー平成30年度予算
総務省の平成30年度予算が先日新たにHPで発表され、「関係人口」創出事業に対し、2.5億円の予算が正式に充てられることになったようだ。
おススメ書籍
最後に、関係人口に関するおススメの書籍をご紹介して終わりたいと思います。
レビューに関しては、書籍紹介の記事『旅と関係人口:関係人口を学ぶ3冊の書籍紹介。』を是非参考にしてみてください。
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▼Amazon.jp:ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)
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関係人口とは
『関係人口』に関する記事を、専用ページにて蓄積することを始めました。
平成30年度、総務省では「関係人口創出事業」に対し2.5億円の予算を既に計上しており、今後一層注目される言葉になっていくと予想しています。
▼ブログ内の『関係人口』記事はこちらに
https://satoshohei.com/kankeijinkou-matome/
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